無麻酔歯石除去について
最近、無麻酔下での歯石除去がペットショップ内で行われ、
それに伴うトラブルの相談が増えています。
そもそも、動物に無麻酔で歯石除去をするとき、どのように処置するか
ご存知ですか?
動物を強制的な保定で押さえ込み、
金属製のスケーラーで歯の表面のエナメル質を削りながら、
歯石をとることです。
動物病院では、なぜ麻酔下で歯石除去をするのか、いくつか理由があります。
1.単純に痛みを与えたくないから
全身麻酔と局所ブロック麻酔を組み合わせ、痛みをコントロールできます。
2.出血をコントロールするため
無麻酔下での処置では、
除去した歯石の一部や、出血に伴う血液成分が
気管に入り込み誤嚥が生じます。
また歯石除去後の歯の状態によっては、抜歯処置が必要なことがあります。
当然、出血を伴いますので、止血処置をするため
麻酔下でないと処置の仕様がありません。
千葉県獣医師会の調査では、
1.心臓や肺などの循環器不全の動物を無理に保定し、
無麻酔下歯石処置後に急性肺障害で亡くなった犬のケース
2.歯石(細菌と歯垢の塊)を除去したことにより、
敗血症(細菌の毒素等が、血液に侵入しショック状態になること)を
併発したケースがありました。
このようなことは、適切な処置や抗生剤を含めた対症療法で、回避できます。
ペットショップやペットサロンで、無麻酔歯石を勧められても、
高いリスクを伴いますので、獣医師に相談してください。